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ブラックウォールナットの特徴と用途
ブラックウォールナットの木が育つ環境
ブラックウォールナットは、カナダのオンタリオ州やアメリカ東部に自生する木です。ウォールナットとはクルミのことで、実が食用になるほか、木そのものも日陰づくりに役立つなど、古くから人々に親しまれてきました。多くの品種があるウォールナットですが、木材としてはブラックウォールナットのことを指すのが一般的です。
ブラックウォールナットの木は、北アメリカ大陸東部を南北に走るアパラチア山脈で育ちます。映画「風と共に去りぬ」の舞台にもなったこの地で、厳しい寒さのもと、ゆっくり時間をかけて成長するウォールナットは、硬く粘りのある材質が特徴です。成長が遅いため、板巾80cmの一枚板が採れる大径木になるには、百年以上かかると言われています。
ブラックウォールナットは、その名の通り、濃い茶に紫や灰色の混ざった独特の濃い色をしています。色味も黒味の強いものから白味の多いものまで幅広く、美しく揃った木目と相まって、無垢材として人気の木材です。チーク、マホガニーと並び世界三大銘木のひとつに数えられる高級材として知られ、欧米諸国はもちろん、近年では日本や中国でも非常に高く評価されています。
日本にはクルミの仲間のひとつでオニグルミと呼ばれる木があり、家具などに使われていますが、こちらはクルミ材と呼ばれ、ウォールナットとは呼ばれません。色もブラックではなく大半は白木で、材質も少し柔らかめであるなどの違いがあります。
多用な用途に使われるウォールナット木材
ブラックウォールナットの持つ独特の風合いと木目や、木肌の美しさを活かし、欧米では古くから高級木材として、天井や床などの内装、家具などに使用されてきました。石やコンクリートの建築が多い国々で、空間にあたたかみと落ち着きを与えてくれるウォールナットは好んで用いられ、アメリカ大統領の演説台や最高裁判所のベンチ、ミラノ大聖堂にも使われています。「家具材のロールスロイス」とも言われるウォールナットを使った家具や高級車のウッドパネルなどは富の象徴であり、人々の憧れでした。1660年から1720年にかけては、ヨーロッパの家具市場を席巻し、ウォールナット時代と呼ばれたほどです。
ウォールナットは非常に硬く触り心地がよいことから、素足でも快適にすごせるため、フローリング材としても人気があります。豊富な色のバリエーションがあり、インテリアと合わせやすいこともメリットです。また、ブラックウォールナットは美しいだけでなく、丈夫で衝撃に強く、寸法が安定しており、加工性や接着、塗装性にも優れています。加工した後も狂いが少ないという特徴があり、飛行機のプロペラとして使われた時代もありました。粘りがあり衝撃に強いことから、現在でも、拳銃の銃床に使われていることが知られています。
ウォールナットの持つこれらの性質は、楽器づくりにも適しています。高級グランドピアノを始め、ハープやエレキギターなどにもブラックウォールナットが使われています。
ウォールナット家具の特徴
落ち着いた雰囲気で家具の高級材として人気の高いブラックウォールナットは、テーブルから椅子、ソファ、キャビネットやタンスに至るまで、木で作られる家具であれば、ほとんどのものに使用されます。中でも一枚板を使ったダイニングテーブルは使い込むほどに色艶と重厚感を増し、まさに一生モノの風格があります。心材の濃い茶色からから灰白色の辺材にかけてのグラデーションは、ウォールナットならではの表情です。心材はときに黒紫や赤紫などが混じることもあり、紫の色素を持つ木材は北半球ではブラックウォールナットだけだと言われています。
ブラックウォールナットで作られた家具は、表面が硬くつるつるしており、すべすべで触り心地がよいのが特徴です。適度な油分を含むので、触るごとに艶や色味に落ち着きが出て、味わいが増していきます。ただし、他の多くの木材と同様、ウォールナットも水や油には弱いため、水をこぼしたり、汚れた場合には、すぐに拭き取ることが大切です。
長く使えると言うことは、ブラックウォールナットが丈夫だと言うことでもあります。重厚感のある見た目の割には軽量で、扱いやすいこともメリットです。衝撃に強く、温度や湿度による狂いも少ないので、安心して使い続けることができます。
高級感のある色調と木目は、ウォールナットの最大の特徴です。緻密でデザイン性に優れた美しい木目は、どんなインテリアにもよくなじみ、空間の中で独特の存在感を発揮します。中でもクロッチウォールナットと呼ばれる枝木の分かれ目の部分は、独特の美しい木目が見られ、採れる量が少ないことから、非常に高価です。
ブラックウォールナットは長く使ううちに、色が明るく変化します。この経年変化は、ウォールナットの大きな特徴です。ウォールナット独特の色合いは、含まれるタンニンによるものですが、タンニンが酸化することで明るくなるのです。色の変化は使い方や家具の置かれている環境によってことなるため、世界にたったひとつの家具に育って行きます。色と光沢の変化を楽しめることも、ウォールナット家具の大きな魅力です。